コイノヨカン
「おはよう、栞奈」

「あ、おはよう」

翌日も、渉に起こされることとなった私。

もちろん私だって、もう少し早く起きたかった。
でも、夕べ眠りについたのは真夜中。
それもこれも渉が離してくれないから。
つい、恨みがましい目つきになった。

「何か言いたそうだな?」
意地悪い顔。

「別に」
プイと視線を外した。

文句は言いません。
私だって渉を求めていたし、ただただ体力の無い私が悪いんです。


「そうだ、朝食を食べたら2時間ほど仕事をしたいんだ。急ぎの案件があってね。悪いけれど、待っていてくれるか?」

「ええ、いいわよ。私はこの近くを散策してみるわ」

通りの向こうにかわいい雑貨屋さんがあった。
ちょうどいいから行ってみよう。

「何かあればすぐに連絡しろよ」
「はい」

「知らない人に声をかけられてもついていくんじゃないぞ」
「もう、私は子供じゃないんだから」
「子供じゃないから言うんだよ。変な男にナンパなんてされるな」
「はいはい」

やっぱり渉はしつこいわ。
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