コイノヨカン
4月のくせに雪の舞う札幌の街。
地下道が発達しているせいか、歩道を歩く人はそんなに多くはない。

「サブッ」
吹いてくる風があんまり冷たくて、コートの襟もとを締めた。

ウインドショッピングをしながら目的の店まであと少しというところまで来た時、

「おい、お前、ふざけるなよ」
男の人の怒鳴り声。

こんな朝の時間に珍しいなとあたりを見ると、ちょうど大通りから一本入った小道。
男性数人がもみ合っていた。

うわ、怖い。
かかわらないのが一番と素通りしようとした時、

「こらっ、待て」
大声が聞こえ、男性が駆けてきた。

「うわぁ」
駆けてきた男性が私にぶつかった。

あ、あれ？

よく見ると、ぶつかったのは昨日小樽で出会った男性。

「ああ、昨日のお姉さん」
男性も気づいた様子。

それにしても偶然ってすごい。
小樽と札幌なんて決して近くはないのに。

「こら、待て」

そうこうするうちに数人の男が追いかけてきて、逃げてきた男性は私の背中に隠れるように回り込んだ。

え、えええ。
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