コイノヨカン
あああー。
ちょうど子供達の後ろにいた専務に、投げられたポップコーンが降りかかる。
子供達はもちろん、周囲の人達の動きが止った。
「すみませーん」
遠くの方から駆けてくるお母さん。
見ると、専務のジャケットはポップコーンのキャラメルソースがべったりついている。
「申し訳ありません」
お母さんが謝るけれど、
「いえ、大丈夫です」
無表情で言われても、怖いだけ。
「もー、何であなたは弟を泣かせるのよ」
今度はお兄ちゃんに怒り出す。
いつのまにかデパートの清掃員も登場して、人集りができはじめた。
悔しそうに涙をこらえるお兄ちゃん。
「本当にすみません」
お母さんに頭を押さえられ、お兄ちゃんも頭を下げる。
「いいんです。それにポップコーンを投げたのはこの子ではありません。兄弟げんかの結果でしょうけれど、彼は随分我慢していましたから」
「はあ」
不思議そうなお母さん。
すると、専務は腰をかがめ、
「ねえ僕、いくら腹が立っても手を出したらダメだよ。手を出したらその時点で君が悪くなってしまうからね」
「はい。ごめんなさい」
お兄ちゃんは自ら謝った。
「よし。もういいよ」
頭をなでて、専務は立ち去る。
私も慌てて後を追った。
意外だな。
子供の扱いがうまい。
「今日は暑いから、ジャケットなくてもいいよな」
「そうですね」
ジャケットを脱ぎ、Tシャツにパンツのラフな格好になった専務。
なんだか若いなあ。
「あの、渉さんっていくつなんですか?」
「はあ?歳?」
「はい」
「28だけど。知らなかったの?」
「はい」
「どれだけ興味ないんだよ」
などとブツブツ言っている。
5つ上かぁ、いかにもお兄さんって感じだわ。
ちょうど子供達の後ろにいた専務に、投げられたポップコーンが降りかかる。
子供達はもちろん、周囲の人達の動きが止った。
「すみませーん」
遠くの方から駆けてくるお母さん。
見ると、専務のジャケットはポップコーンのキャラメルソースがべったりついている。
「申し訳ありません」
お母さんが謝るけれど、
「いえ、大丈夫です」
無表情で言われても、怖いだけ。
「もー、何であなたは弟を泣かせるのよ」
今度はお兄ちゃんに怒り出す。
いつのまにかデパートの清掃員も登場して、人集りができはじめた。
悔しそうに涙をこらえるお兄ちゃん。
「本当にすみません」
お母さんに頭を押さえられ、お兄ちゃんも頭を下げる。
「いいんです。それにポップコーンを投げたのはこの子ではありません。兄弟げんかの結果でしょうけれど、彼は随分我慢していましたから」
「はあ」
不思議そうなお母さん。
すると、専務は腰をかがめ、
「ねえ僕、いくら腹が立っても手を出したらダメだよ。手を出したらその時点で君が悪くなってしまうからね」
「はい。ごめんなさい」
お兄ちゃんは自ら謝った。
「よし。もういいよ」
頭をなでて、専務は立ち去る。
私も慌てて後を追った。
意外だな。
子供の扱いがうまい。
「今日は暑いから、ジャケットなくてもいいよな」
「そうですね」
ジャケットを脱ぎ、Tシャツにパンツのラフな格好になった専務。
なんだか若いなあ。
「あの、渉さんっていくつなんですか?」
「はあ?歳?」
「はい」
「28だけど。知らなかったの?」
「はい」
「どれだけ興味ないんだよ」
などとブツブツ言っている。
5つ上かぁ、いかにもお兄さんって感じだわ。