コイノヨカン
「かわいくない娘だな」

「すみません」

どうせ私はかわいくないです。

「何で用事があるって言わなかったんだ」

「行きたくなかったんです」

「だからって、態度が悪すぎ」

「専務に言われたくありません」

普段のあなたがどれだけ横柄か分かっているんだろうか。

「少なくとも俺は、親に悪態吐いたりはしない」

厳しめの口調で言われると、黙るしかなかった。

「2度とお母さんにあんな態度を取るんじゃない。いいね」

「・・・」

「返事」

「・・はい」

何なのよ。
普段は専務の方がずっと感じ悪いのに、これじゃあ私が悪い人みたいじゃない。

「じゃあ、ご飯に行こうか」

完全にむくれてしまった私も立ち上がった。
すると、
専務が急に手を握った。

ええ?
驚いて見返すと、

「さっき、専務って呼んだだろう。そのペナルティーだ」

ペナルティー?

混み合うデパートのなかを2人で抜けていく。
今の私達って、周りから見ればカップルに見えるんだろうか?
ふと、そんなことを思ってしまった。
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