コイノヨカン
デパートで買い物をし、早めの夕食を済ませた私達。
夕方からは、私のリクエストでライブに向かった。
アマチュアのロックバンドなんて見たこともない専務は、興味津々でついてきた。
「若い子が多いんだな」
ちょっと不安そうな表情。
フフフ。
専務だって十分若いです。
そう言いかけて口をつぐんだ。
だって、専務の不安そうな表情なんて滅多に見られない。
もったいないから、このままにしておこう。
「栞奈」
声をかけてきたのは、今日出演予定のバンドのギター旺。
「ああ、旺」
「ありがとう。栞奈、来てくれたんだ」
「当たり前でしょう。来るって約束だったし」
「来ないかと思ったよ。だって、」
私に寄ってきた旺が、耳元まで顔を近づけ小声で囁いた。
途端に、私の顔が曇る。
「ど、どうした?」
専務が駆け寄った。
「何でもないんです。大丈夫です」
「何でもないわけないだろう。顔色が悪い」
「それは、照明が暗いから」
「ねえ、誰?」
今度は旺の険しい表情。
「ああ、あの・・・」
旺にはなんて説明すればいいんだろうとを考えていると、
「お前こそ誰なんだ。人に聞く前に自分が名乗れ」
いつもの俺様専務が顔を出す。
「もー、せ・・渉さん。旺は」
「旺?」
こめかみにピキピキと青筋を立てる専務。
「栞奈。男の趣味変わった?」
状況を察してわざと挑発的な発言をする旺。
「気安く呼び捨てにするなっ」
専務の方は完全に怒ってしまった。
夕方からは、私のリクエストでライブに向かった。
アマチュアのロックバンドなんて見たこともない専務は、興味津々でついてきた。
「若い子が多いんだな」
ちょっと不安そうな表情。
フフフ。
専務だって十分若いです。
そう言いかけて口をつぐんだ。
だって、専務の不安そうな表情なんて滅多に見られない。
もったいないから、このままにしておこう。
「栞奈」
声をかけてきたのは、今日出演予定のバンドのギター旺。
「ああ、旺」
「ありがとう。栞奈、来てくれたんだ」
「当たり前でしょう。来るって約束だったし」
「来ないかと思ったよ。だって、」
私に寄ってきた旺が、耳元まで顔を近づけ小声で囁いた。
途端に、私の顔が曇る。
「ど、どうした?」
専務が駆け寄った。
「何でもないんです。大丈夫です」
「何でもないわけないだろう。顔色が悪い」
「それは、照明が暗いから」
「ねえ、誰?」
今度は旺の険しい表情。
「ああ、あの・・・」
旺にはなんて説明すればいいんだろうとを考えていると、
「お前こそ誰なんだ。人に聞く前に自分が名乗れ」
いつもの俺様専務が顔を出す。
「もー、せ・・渉さん。旺は」
「旺?」
こめかみにピキピキと青筋を立てる専務。
「栞奈。男の趣味変わった?」
状況を察してわざと挑発的な発言をする旺。
「気安く呼び捨てにするなっ」
専務の方は完全に怒ってしまった。