コイノヨカン
食事を取りながら会議は進み、終わったのは9時過ぎ。
帰宅したのは10時を回ってしまった。

見ると、母屋にはまだ電気がついている。
一応ご挨拶だけでもと、私は母屋に顔を出した。

「すみません。遅くなりました」

「あら、栞奈さん」
奥様がリビングから顔を出す。

「もしかして、起きて待ってくださったんですか?」

「まあね。お預かりしているお嬢さんだから、心配なのよ」

そんな、

「申し訳ありません」

「いいのよ。食事はすませたの?」

「はい。会社でお弁当を食べました」

「えっ、仕事だったの?」

「あの・・・まあ」

ヤダ。
自分で嘘をバラしてしまった。

「じゃあ、戻ります。心配かけてすみませんでした。おやすみなさい」

私は逃げるように、玄関を出た。
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