コイノヨカン
店の前で待っていた車で、家へ向かう。

「あの、岡野さんって松田財閥の関係者の方なんですか?」

失礼かなって思いながら、聞かずにはいられなかった。
だって、20代で副社長だなんて血族でなければありえない。

「遠縁にあたります」

遠縁。
微妙だな。

「松田専務とは・・・」

面識がおありですかと聞こうとして、なんとなく言葉が止った。

「知ってますよ。時々会うこともあります」

「そうですか」
私の声が段々小さくなる。

ここは早く帰らなくては。
長居をしてはいけない気がする。


「ありがとうございました」
「本当にここでいいの?」
「はい。すぐなので」

お屋敷の近くのコンビニに降ろしてもらい、お礼を言う。

「良かったら、また行きましょう」
「はい」
社交辞令の返事。

岡野さんを乗せた車は駐車場を出て行った。
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