コイノヨカン
午後8時。
私は身支度をすると、離れを抜け出した。
カラン カラン。
「いらっしゃいませ」
「こんばんは」
どうぞとカウンターを勧められ、私は席に着く。
やはり、専務の姿はない。
もしかしたらと、かすかな期待をしていたんだけど。
「どうぞ」
マスターが出してくれた真っ赤なカクテル。
一口口をつけて、
「ラズベリー、ですか?」
「はい」
うん。
美味しい。
「隣りいいですか?」
「え、ええ」
落ち着いた雰囲気の男性に言われ、つい返事をしてしまった。
20代後半の、スーツの似合う男性。
優しそうな笑顔なのに、落ち着いた雰囲気もある。
「大地さん。この方は」
マスターの意味ありげな視線。
ん?
「分かってるよ」
??
「今井栞奈さんですよね?」
「ええ。あなたは?」
「星野大地と言います。あなたたちの交際契約書を作成した者です」
ああ。
「渉さんのお友達の、弁護士さん?」
「はい」
うわ、マズイ。
咄嗟に顔に出てしまった。
ククク。
「そんなに露骨に顔に出さなくても」
「すみません」
確かに失礼な態度だった。
「星野さんは、おひとりですか?」
「大地でいいよ」
「はあ」
「もうすぐ渉も来るよ」
えええ。
「面白い子だね。渉に会いに来たんでしょう?」
それはそうなんだけど・・・
私は身支度をすると、離れを抜け出した。
カラン カラン。
「いらっしゃいませ」
「こんばんは」
どうぞとカウンターを勧められ、私は席に着く。
やはり、専務の姿はない。
もしかしたらと、かすかな期待をしていたんだけど。
「どうぞ」
マスターが出してくれた真っ赤なカクテル。
一口口をつけて、
「ラズベリー、ですか?」
「はい」
うん。
美味しい。
「隣りいいですか?」
「え、ええ」
落ち着いた雰囲気の男性に言われ、つい返事をしてしまった。
20代後半の、スーツの似合う男性。
優しそうな笑顔なのに、落ち着いた雰囲気もある。
「大地さん。この方は」
マスターの意味ありげな視線。
ん?
「分かってるよ」
??
「今井栞奈さんですよね?」
「ええ。あなたは?」
「星野大地と言います。あなたたちの交際契約書を作成した者です」
ああ。
「渉さんのお友達の、弁護士さん?」
「はい」
うわ、マズイ。
咄嗟に顔に出てしまった。
ククク。
「そんなに露骨に顔に出さなくても」
「すみません」
確かに失礼な態度だった。
「星野さんは、おひとりですか?」
「大地でいいよ」
「はあ」
「もうすぐ渉も来るよ」
えええ。
「面白い子だね。渉に会いに来たんでしょう?」
それはそうなんだけど・・・