マシュマロより甘く、チョコレートより苦く



「りーお」



耳元で聞き慣れた声がした。ビクッと跳ねる肩の動きをなんとか悟られまいと抑えながら振り向くと、やっぱり。私の「彼氏」である輝羅くんがいた。



「き、らくん…」



私は慌てて笑みを作る。笑顔がぎこちなくてもどうでもよかった。これはすべて、彼のご機嫌取りのためだから。



「ずっと三岡さんといたから、声かけられなかったじゃん」



「うん…ごめん」



私は謝った。ちなみに三岡さんというのは萌映の名字だ。



「ま、とりあえず最初は始業式サボるか」



「え…それは良くないんじゃないかな…」



「なんか文句あんの?」



射るような目が私を捉える。



その目が怖くて仕方なかった。だから私は、



「…わかっ、た」



思ったことと反対の言葉を、口にした。



「修斗ー、何見てんだよ」



「あー、今行くー」



と言った彼…修斗くんの声は、この時の私には全く届かなかった。



***



「…っ、もうそろそろ一限始まるよ」



「あともうちょっと」



ひたすら、同じようなことをされてるような気がする。



流石に学校だから服を脱がせたりはしないけど、でも服を脱がせなくたってできることはたくさんあるらしい。


大体は私のブラのホックを外したり、パンツを脱がせたりして出来ることに限られてるからまだマシなのかもしれない。…家よりは。



休みが始まる前の終業式と、休みが終わった後の始業式、×春夏秋冬、×半年。



輝羅くんはそんなに同じことを続けていても飽きないらしい。



そんなに私の身体っていいもんなのかな。



なんて考えたりするけど、それ以前の問題じゃない?



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