マシュマロより甘く、チョコレートより苦く
相手の同意があってからこそできるものなんじゃないの?
なんで無理矢理して自分だけ快感を覚えるの?
その感情はだいぶ前に捨てた。
だって、その感情を持ったって意味がないから。
いくら私がそんなような感情を持ったとしても、押し殺されるだけ。
口に出したらもう二度とそんなことを言わないように暴力を振るわれるから言わない。けど、心の中にため込んでいたってその気持ちのやりどころに困る。
同じ感情が、ずっとぐるぐるしてしまう。
だったら感情なんて要らない。
捨てちゃえばいいんだ。
そう決めた時くらいから、告白される機会が減った。
たぶん、無表情が増えたからかな。
何より、朝がやってくるのが怖い。
彼は、私が逃げられないように毎朝家の前まで迎えに来る。
一回だけ、輝羅くんを避けるために六時に家を出てみたこともある。
でも彼はいつもと全く変わらず家の前で待っていて、正直寒気がした。
いつから私を待ってるの…?
怖い。重い。
いつになれば、私はここから解放されるんだろう…。
ふと、今いる空き教室の窓から空が見えた。
雲一つないくらい青かったらよかったのに、外は真っ暗だった。
でも、雨は降ってはいなかった。
まるで私みたいだ。その空を見て、一番最初にそう思った。
暗い気持ちでいるけど、まだそれを表に出してはいない。
いまにも壊れてしまいそうな私の心臓とそれは恐ろしいくらいリンクしていた。
でも、
「俺を見ろよ」
強引に顔を動かされ、私の視線はまた輝羅くんの恐ろしいくらいに整った顔に戻された。