マシュマロより甘く、チョコレートより苦く
「まーでも、今日は必要以上に話さないように努力してたからご褒美あげる」
優しいキスが落とされる。
ほらやっぱり優しいじゃん。
ほんとは優しいっていうのは、私が一番よく知ってることじゃん。
なんで嫌だとか思ったりしたんだろう。
「…ちょ…恥ずかしい…」
顔が赤くなっているのは当たり前、それに私が感じているのを誰かに見られるなんて嫌だ。
「ここは誰も通らないしいいじゃん。まあ俺としてはむしろ俺にしか感じない莉桜を見せつけてやりたいけどな。
あ、でもそれも嫌だな。本当は俺以外の誰にも見せたくないし、俺以外と会わないでほしいなんて思うけどな」
「…」
その発言にろくにコメントもできず、思わずぞっとする。
暖かい恰好をしているはずなのに、身体がぶるぶるっと震えて寒気がした。
「莉桜は俺だけのものだよ。たとえ女友達だろうがなんだろうが、誰にも渡さない」
普通の彼氏に言われたら、これはどれだけ嬉しい言葉なんだろうか。
でも私は、嬉しさと怖さが入り混じったような、いやむしろ怖さが圧倒的に多いような、そんな不思議な気持ちだった。
「莉桜、輝羅くんも誘ってダブルデートしない?」
萌映がそう誘ってくれた。
萌映はほんとうに優しい子だ。この前も断ったのに、諦めずにいろいろな方法で私を誘ってくれる。
「いいね、聞いてみる!」
私は頷いた。それくらいなら輝羅くんもOKしてくれるだろうな、そんな風に考えていた。