マシュマロより甘く、チョコレートより苦く


スマホを置くとなんだか急に感じたこともないくらいの眠気が襲ってきて、私は制服がシワシワになるだろうという当たり前のことも考えずに眠りについてしまった。



***



「ん…」



何か特別なことがあったわけでもないけれど、ふと眠りから覚めたのでそっと目を開けてみた。



ベッドの近くの机に置いてある時計に目をやると、短針は朝の三時を指していた。



どうやらあのままずっと眠ってしまったようだった。



喉が渇いたので、私はダイニングへと向かった。



電気をつけてみると、私の席にラップをかけられたお皿が置いてあった。



“起こしても起きなかったから、そのまま寝かせておきました。お腹がすいたら食べてね”



お母さんの丁寧な字で、そう書かれていた。



お母さんはパートで忙しいのに、迷惑をかけちゃったな。



お母さん、ごめんね。



心の中で謝りながら破らないようにラップを外してみると、そこにはパンがあった。



小さなロールパンがふたつ、ちょこんと並んでいる。



それを見て、急激にお腹が空いた。



私は冷蔵庫から牛乳を取り出すと、カップにこぽこぽと注ぐ。



そしてそれにロールパンをつけて、口に運んだ。



…おいしい。


< 28 / 100 >

この作品をシェア

pagetop