マシュマロより甘く、チョコレートより苦く



私と萌映が仲良くなったのも、もしかしたらそのおかげだったのかもしれない。



萌映は金色のカチューシャにセーター、その下はすっとしたワイドパンツ。その上にはかわいらしいジャケットを羽織っている。



私より女の子らしい恰好をしていて羨ましい。



私もあんな服、着たかったな。



でもそんなことを口にはしなかった。



輝羅くんはザ・女の子って感じの服…例えば萌映が着ているような服やロリータ系などがあまり好きではないらしい。



はっきりとそう言われたことはなかった。けど、初めてデートにいった日にすこし嫌な顔をされたから、ああ、ダメなんだなと察した。



それからは彼が好きな、肌をすこし見せるようなセクシー系の服を集めるようになった。



お母さんから



「どうしたの。あんまりそういうの好きじゃないんじゃないの」



と言われたりもしたけど、



「たまには良くない?」



なんてはぐらかして買って、気づいたら今家にあるのはほぼセクシー系の服になってしまっていた。



もちろん萌映と遊ぶときには自分が好きな恰好をしていたけど、最近は彼がそれも許してくれなくなっちゃったから、ずっと好きでもない服を着ている。



こんな生活、いつまで続くんだろう。



「…お!莉桜!」



「はい!」



萌映の声に、私ははっとして現実の世界へと舞い戻ってきた。



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