マシュマロより甘く、チョコレートより苦く
「で、どっちがいい?」
「えーと…どっちって…」
「カップル同士で別行動して後で合流するか、みんなで回るか」
「あー…」
私はそっと輝羅くんを見た。
輝羅くんは、きっとこう言うよね…。
「カップル同士で別れたい」
そんなん、聞かなくたって分かってる。
でも私は…。
「みんなで回ろ?」
と言った。輝羅くんの眉がいつもより2、3センチほど高くなったような気がした。
「そうだね。そうしようか」
萌映は私ににこりと笑いかけてくれた。その笑顔につられて私の口角も上がった。
でも結局は前に萌映と奏太さん、そして後ろに私と輝羅くんが並ぶことになり、あまり二人…カップルで行動する時と変わらないんじゃないのかって思ったり。
「…莉桜」
ひそひそと輝羅くんが耳打ちしてきた。
「なんで一緒に行動したいって言ったのか?もしかして楪のことが好きなのか?」
「違う。たまには萌映と一緒に回りたいなって思ったから。萌映は女の子だしあんなにかわいいんだからわかるでしょ。友情的には大好きだよ。けど恋愛的には絶対に好きにならないって、何回言えばー」
私の口を塞ぐように、輝羅くんがキスをする。彼の唇はすぐに離れて、でも、とかすれた声を口にした。
「いくら女友達だったとしても、同性愛とかだってあるじゃん。最近ではそういうの話題になってるじゃん。BLとか、GLとか。怖いんだよ、莉桜が離れていくのが」
「私はここにいるじゃん」
「そういう意味じゃなくて」
「…」