マシュマロより甘く、チョコレートより苦く
「いいから入って」
と促され、若干罪悪感を感じながら私はそこに入った。
「で?ここに入った目的は?」
「え?そんなのとっくに分かってると思ってたんだけど」
呆気にとられたように輝羅くんが言う。
「用を済ませるため?」
「違うよ。莉桜を堪能したいなって思って」
すぐに私のお腹に手がいく。
ぞくぞくして、そんな風に感じてる自分が嫌で。
「…っもうやめてよ!」
私は勢いよく彼を押し返した。
ダブルデートしに来てるのに、何なの?
こんなんいつもやってるじゃん。ダブルデートの意味、ないじゃん。
彼は私が抵抗すると思っていなかったのか、よろめいて背中を壁にぶつけた。
「いって…」
痛そうに彼が顔を歪める。
「ご、ごめんなさい…」
「そんな謝罪の言葉で済むと思ってるのかよ」
バキッ!と音がするのと激痛がするのがほぼ同じタイミングだった。
そのまま何発か別の場所も殴られる。
あまりの痛さに、私はへなへなとその場に崩れ落ちる。
「痛かっただろ?もう二度と逆らわないでね?」
「…」
「聞こえてんの?」
「…聞こえて、る」
「じゃあ返事くらいしてくんない?」