マシュマロより甘く、チョコレートより苦く
「…はい」
私は重い首をすこしだけ動かした。
それから、がっくりと意識を失った。
***
気づいたと思うと、そこはベッドの上だった。
安心する洗剤のふわっとあたたかい匂いがするってことは、ここは私の家なんだろう。
私はそっと身体を起こす。
その途端、激痛がした。
そうだ、私輝羅くんに殴られて気を失っちゃったんだ…。
するとガチャっとドアが開いて、お母さんがやってきた。
「莉桜、大丈夫?怪我してたらしくて、輝羅くんがわざわざ家まで運んでくれたって」
その言葉に、ぶるぶるっと身体が震えた。
どういうこと…?
まるで私が怪我したところをたまたま見かけて、それで運んできたみたいな。