マシュマロより甘く、チョコレートより苦く



「ほんと紳士ね〜。莉桜、私輝羅くんを送ってくから、ちょっと寝ててくれる?」



「…うん」



もう私に勝ち目なんてなかった。



輝羅くんは私の部屋から出て行く時に振り返って、



「お大事に」



と微笑んだ。その笑顔にゾッとした。



まるで、「言うなよ」と釘を刺されているような、ー




…そんな感じがした。






医者に行くほど酷いわけではなかったので、とりあえず家にあった湿布を貼ってはやく寝るようにした。…と言うよりは、医者に行ってもこれじゃ湿布をもらうだけになりそうだし、湿布なら家にたくさんあるし。



輝羅くんは一週間だけ会わないでくれると約束してくれた。



「そのぶん、一週間終わった最初の土日は俺と泊まりに行こうな」



という条件を勝手につけられたけど。でも、2日間で終わるんなら全然いい。



もしかしたら、百億分の一、いやほぼゼロの可能性だけど、…私のことを気遣ってるのかもしれない。



でも一週間で傷が治るわけがない。



おかしいよね。傷が治るのはもっとかかる。



だって青あざだってそこそこ大きいし、こんなん治るのは少なくとも1ヶ月はかかるんじゃないかって思う。



医療系志望でもなんでもないから、細かいことはわからないけど。




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