マシュマロより甘く、チョコレートより苦く
「有賀はさっき熱があるとか言って早退してたけど。朝倉さんって有賀とデキてんの?」
その質問に、私は黙り込む。
確かにデキている、と言われればそうなのかもしれない。『でも私は好きじゃない』なんて、言えない。
そんな私を見てまた口角を上げ始める男子。
「じゃ、俺と———」
「朝倉さん」
それを遮ったのは、
「久保くん…」
金色の髪の、君だった。
「なんだよお前…ってお前、久保修斗かよ…」
男子が彼を見るなり、さっきとは打って変わってぎょっとした表情をする。
「朝倉さんって久保と関わってたの…⁉︎」
「え、別に…」
と私は曖昧な返事をする。久保くんに何か問題でもあるの…?
「とりあえず、行くよ」
彼は私の手を取って駆け出していく。
私はよくわからずに首を傾げたまま彼を追いかけていく。
連れてこられたのは普通に教室の前。
「朝倉さんはいろいろと危ないんだよ。無防備?というか。気をつけた方がいいよ」
なんて言われる。
「そんなことないし、私ちゃんと真面目に生きてるし!」
「そういう意味じゃなくて…」
呆れた表情で久保くんが言う。
「ま、あんまりああいう風になんないように、隣のクラスに行く時とかは三岡さんと一緒に行くべきだよね」
「あー…そうなんだ」
と平返事をする。
萌映と一緒にいれば大丈夫とか思ってんのかな。
萌映だって女の子なのにね。