マシュマロより甘く、チョコレートより苦く
「…違うよ」
輝羅くんは首を振った。
「莉桜のことが好きで好きで仕方ないから、ずっと考えてたんだよ。何をすれば、俺は満足するんだろうって」
「…」
私は無言で促す。あくまで“俺は”、なんだねと今更ながら気持ちがズンと重くなる。
「莉桜をさ、監禁しちゃえば良くない?」
その言葉に、私は目を見開いた。
「だってさ、俺ほんと気が狂いそうだもん。莉桜が他の人に笑顔を振りまいていると思うと、それを見るやつらが許せない。三岡さんとか先生とかはなんとか許せる、と思う。ギリギリアウトではあるけれどまだ我慢できると思う。けどそれ以外の人と喋らないで。お願いだから」
「…なんで、そこまでするの」
私はぼそりと呟いた。
「は?」
輝羅くんは眉をひそめて言った。
「私はちゃんとここにいるじゃん。毎日行きも帰りも一緒に行ってたと思ったらいきなり“監禁する”なんて言い出してさ。意味わかんないんだけど。第一、お母さんがそんなこと許してくれるとでも思ってるの?」
私は輝羅くんを睨みつけた。
「…怒らないで聞いて」
輝羅くんのいやに冷静な声に、私は黙った。