マシュマロより甘く、チョコレートより苦く





私と輝羅くんが付き合ってから1ヶ月が経った。



「今日は1ヶ月の記念日だね」



「そうだね」



私達はその時ちょうどタイミングが合い、デートをしていた。



輝羅くんは今日もまるで私がお姫様であるかのようにエスコートしてくれた。



一生忘れられないデートになったな。この時はそう思って満足していた。



もう別れるくらいの時間になって、輝羅くんが言った。



「こんなに短い期間でも、莉桜と付き合えて本当に良かったって思えてる」



「ありがとう…私もだよ」



私はにこりと笑ってぎゅっと輝羅くんの手を握る。



すると不意にぽつっ。私の鼻の頭に水滴が。




それを始まりとして、サーっと音が聞こえて冷たい何かが肩と頭を濡らす。



え。呆気にとられて空を見上げると、空が泣いていた。



あ、雨…?



一気に辺りが暗くなって、雨もどんどん強くなっていく。



「うわ、やば!とりあえずホテルにでも入るか!」



私は輝羅くんに引っ張られながら、とあるホテルに入った。



「へええ…ここ、だいぶ不思議なホテルなんだね。なんか、…すっごいピンク」



私はソファーに座りながら言った。



こんなにキラキラしているホテル、見たことない。



しかもこのホテル、鏡がかなり多い。



…どういうこと…??



ナルシスト用のホテルかな。



なんて考えていると、急激に寒さを感じた。



幸い私は下半身はそこまで濡れてはいないけど、でも上半身はかなり濡れている。



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