マシュマロより甘く、チョコレートより苦く
「…お願いだからもうやめて」
「は?」
輝羅くんの目がギンと鋭くなる。その視線で人ひとり射殺してしまいそうなくらいの鋭さだった。
「莉桜が別れるなんて言えば、俺死んじゃうよ。莉桜を殺して、自分も」
その言葉を聞いて思わず私は震えた。寒気どころじゃなかった。まるでいきなり南極に飛ばされてしまったかのように寒くて、ぞくぞくとした。
私を殺して、自分も死ぬ…?
おかしすぎるでしょ。
「そんなん意味ないじゃん!」
「だって、莉桜が他の男と付き合うってことなんて考えられないんだもん。他の男に笑顔を向けるだけで俺はこんなにも気が狂いそうなのに、莉桜とその男が付き合うとかセックスするってなったら本当死にそう。その男をなるべく痛い死に方になるように殺したくなっちゃうじゃん。莉桜のことを俺から奪うなんてしたら、そんな虫けらと同じくらいの命じゃむしろ足りないくらいだよ。あ、でも莉桜と心中するんだったら全然いいよ。むしろ一緒に死ねるとか嬉しいし、同じ時に命の灯が消えるとか……まさにロマンチックだよね。ぜんぶ、莉桜のことが大好きで大好きでたまらないんだから仕方ないことなんだよ」
「…」
「どうする、莉桜?俺の家に来るか、今すぐ俺と海にでも行って一緒に死ぬか」
輝羅くんが私の顔を覗き込んだ。