マシュマロより甘く、チョコレートより苦く
「お前…久保?だったよな。一回莉桜と話してるのを見たことがあるくらいだったけど、何の用?」
輝羅くんが言った。
「ふっ…酷いな。朝倉さんと話をしたのも覚えてるなんて」
修斗くんはちょっとだけ笑った。
「は?なにが面白いんだよ」
私には見えないけど、輝羅くんは眉をひそめているんだろうということがなんとなくわかった。
「もしかして、気づいてない?朝倉さんにDVをしてること」
修斗くんいきなり爆弾発言…!
私は輝羅くんを見たが、輝羅くんはピクリとも動いていなかった。
「…それ、証拠とかあんの?」
一拍遅れて、輝羅くんが尋ねた。
「それは君自身がいちばん気づいてるんじゃないの?」
修斗くんが言うと、かすかに輝羅くんの身体が揺れた。
「気づいたら朝倉さんが怪我してた、気づいたら彼女が泣いてる、そんなことが何度かあったんじゃないの?気づかなかった、なんてことはないよね?それともわざとやってるの?」
修斗くんがにこにこと笑っている。さっきの輝羅くんの瞳と一緒で、それ自体は全く笑っていない。
輝羅くんは黙った。
「彼女を離したくない。その思いが強かったから、彼女を無理やりでも縛りつけようとした。それが、ー」
「黙れ!」
輝羅くんが大きな声で怒鳴った。
「俺の気持ちなんか、誰もわかってくれる奴なんていないんだ。お前なんかに話してどうこうなるもんじゃない。俺は莉桜がそばにいてくれれば、あとはなにもいらない」
「彼女がほんとうは無理していることに気づいていても?」
修斗くんの声に、輝羅くんはまた一拍遅れて喋り出す。