マシュマロより甘く、チョコレートより苦く
「朝倉さん。もし本当に有賀のことが好きだって言うなら俺が10秒数えるまでに有賀にキスして」
「わかった」
私は頷いた。
「いーち、にーい、さーん、」
やばい笑っちゃう。
なんで輝羅くん、キス顔してるの?
こんなふうに思えるってことは、私も余裕ができたのかもしれない。
「ごー、ろーく、しーち、」
私はそっと彼の顔に手を添える。
なんでかって?…少しだけ輝羅くんが痛い目をみればいいから。
でも、もちろん顔を近づけることはせずにすぐに離す。
「きゅーう、じゅう」
結局、私はキスをしなかった。
そりゃ、DV受けてる人にキスして好きを証明する必要なんてないもんね。
「有賀、キスされた?」
と尋ねる修斗くん。
「…」
これは流石に言い逃れできないと思ったのか、首を振る彼。