マシュマロより甘く、チョコレートより苦く



「朝倉さん。もし本当に有賀のことが好きだって言うなら俺が10秒数えるまでに有賀にキスして」




「わかった」




私は頷いた。




「いーち、にーい、さーん、」




やばい笑っちゃう。




なんで輝羅くん、キス顔してるの?




こんなふうに思えるってことは、私も余裕ができたのかもしれない。




「ごー、ろーく、しーち、」




私はそっと彼の顔に手を添える。




なんでかって?…少しだけ輝羅くんが痛い目をみればいいから。




でも、もちろん顔を近づけることはせずにすぐに離す。




「きゅーう、じゅう」




結局、私はキスをしなかった。




そりゃ、DV受けてる人にキスして好きを証明する必要なんてないもんね。




「有賀、キスされた?」




と尋ねる修斗くん。




「…」




これは流石に言い逃れできないと思ったのか、首を振る彼。




< 88 / 100 >

この作品をシェア

pagetop