マシュマロより甘く、チョコレートより苦く
「さよなら」
最後はこう言いたかったんだ。
相手の目を見て、好きになった彼を思い出しながら、そしてもうその彼はいないのだと悟りながら、キッパリと別れを告げる。
返事を待たず、そのままくるりと背を向けて歩き出す。
もう振り返ってみたりはしなかった。
でも輝羅くんは追ってこなかった。
私は修斗くんにお礼を言う前に空を見上げて、ふうっと息を吐いた。
…やっと、終わったよ。
私を押し出すように、ふわっとあたたかな風が吹いてきた。
【完】