妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
最初はテンポよく決まっていった役割決めも決まらずにグダグダになってきた頃、鈴木さんが教室に戻ってきた。
お昼寝でもしてきたのだろうか、ほっぺたに布団の型がいっている。
今にもわあわあとあくびをしだすんじゃないかと思うくらい気の抜けた、ぼんやりした顔だった。
いつもの鈴木さんらしくない。
屋上で何かあったのだろうか。
「あ、じゃあさ鈴木に太鼓やってもらおうぜ!」
一人の男子が唐突に意地悪なことを言い出した。
めんどくさい役割を鈴木さんに押し付けてやろうという魂胆が見え見えである。
しかし、なんだか吹っ切れた表情をしてどっしり席についた鈴木さんは意に返さず
「やらねえよ」と吐き捨てるように言った。
「え……?」とクラスがざわめく。
その堂々とした姿に私も驚いた。