妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
「鈴木さん後から来たんだから決める権利ないから」
河野さんは唇をワナワナとさせ教卓をバンっと叩いた。
隣の席の真也を見ると、しれっとした顔をしていた。
どうなってんの? と私は混乱する。
「私はやらない」
「あんた、誰に口きいてんの」
「河野さんでしょ?」
「……っ」
顔を真っ赤にさせた河野さんが鈴木さんの席に近づき、パチンっと顔を叩いた。
手を出してしまったことに自分でも驚いた様子で、彼女は動揺し立ち尽くしている。
鈴木さんは椅子を蹴飛ばす勢いで立ち上がり、河野さんの胸ぐらに掴みかかった。
「叩くとかありえねえから」
「あ、あんたが調子乗ってるからでしょ!」
机は横倒しになり中身が散らばって、無茶苦茶になった。
2人の取っ組み合いはますますヒートアップする。
罵声怒涛が飛びかい、負傷者がでかねない勢いで揉み合う。