妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~



女子はひゃっと悲鳴をあげ、男子は呆然としている。あまりの惨状に咄嗟に動けないのも分かる、でも、誰か、止めてよ……。



このままじゃ、どちらかが怪我してしまう。
出来ればこんな目立つ役回りしたくなかったけど……


「ちょっと! 二人とも落ち着いて!」




誰も止めないなら私が止めるしかないじゃないの!



間に入ったものの、二人とも興奮しきっていて、私も一緒にもみくちゃにされた。

二人を引き剥がそうと奮闘するが、お互いが相手しか見ていないせいでちっとも収集がつかない。


こんなの最悪だ……。鈴木さん、力強すぎるよ……。



私のほっぺにパンチが飛んでくる。「……痛いよ」あなた達のとばっちりパンチ。



私はすっと息を吸い込む。



「………もう、やめてって言ってるでしょーー!!!」




私は屋上で叫んで以来の大声で喚いた。



二人がピタッと動きを止める、私はぜえぜえと肩で息をして



「いっつもいっつもクラスの空気を無茶苦茶にして!勘弁してよ!」



と二人を引き剥がした。



河野さんは目をまん丸にして


「お、小野枝さん?」と声をかけるし、
鈴木さんは「このお人好し」と半笑いで私を見る。



もう、どうにでもなれって感じだ。


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