妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
その時、この場に相応しくないおかしな笑い声が聞こえてきた。
「ぷふふっ……。久美ちんもっと言ってやれ〜」
椎名であった。
彼女は呑気にぴょんぴょん飛び跳ねながら「独裁政治河野に下剋上だあ〜〜」と拳を挙げた。
「こら椎名、心の声が全部出てるぞ」
真衣が宥めるが、ツボに入った椎名は笑い転げている。
「椎名さん言っちゃってるよ」
クラスの女子もクスクス笑う。
「鈴木さんは、なんかめっちゃ怖いし」
このカオスな状況にみんな笑うしかないようだった。
「独裁政治は言い過ぎだろ……ほんとのことだけど」
いつも仏頂面の真也までもが笑い出した。
「な、何よ独裁政治って!」と河野さんは少し顔を赤くして怒ったけれど、しょげている子供のような顔だった。