妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
「……ねえ河野さん、復讐は気が済んだ?」
唐突に鈴木さんは射抜くような目で河野さんを見つめ、問うた。
河野さんがはっと顔をあげる。そして唇を噛み締め、押し黙ってしまうと、隣の教室の笑い声が聞こえてくるほどに静かになった。
「私も後悔してるんだ。あの時、あんたを助けてやればよかった。目があったのに動かなかった……。本当にごめん」
鈴木さんが河野さんに頭を下げた。
クラスのみんながどう言うことかわからないと言う顔で、かくいう私も全く訳がわからなかった。
今までの印象とかけ離れた口調の鈴木さんと、しゅんと大人しくなった河野さんは教室の中心で二人だけにわかる言葉で話している。
私が二人の傍で静かに見守る。
押し黙ったまま答えようとしない河野さんの隣で
「……ちゃんと決めるか」と、ことの発端を作った男子がボソッと言った。