妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~


自分は結構無神経なことを言っているな、と思い至ったのはしばらくしてからだった。




あ、と思った時にはすでに女の子がことの経緯を吐露しはじめ、僕は口を噤む。




「私さ中学の時、クラスでも目立つグループにいたんだよ。


で、そのグループがいま私をいじめている子をいじめていたんだよね。


私はその頃、女の子の軍団があんまり好きじゃなかったから、べったりいつも一緒ってわけじゃなかったし、一人で行動してることも多かった。



放課後は他の学校のやつとつるんでたむろしていることが多かったし、グループの中でも異質な存在だった。



でもさそのグループに属していたわけだからその女の子がいじめられてることは知ってたんだよ。



言うのも憚られるようなひどいことをされていたらしい。


でも、助けなかった。だって自分の立場があるじゃん。


助けたら自分がそのグループを追放されるだろ? 仲間を売ったと判断されるわけだ」




「女の子は大変ですね」



僕はそんな複雑な人間関係を体験したことがないから、空っぽの言葉しかでてこない。


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