妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
「優しいじゃないですか」
「そうなんだよ……でもさなんて言ったらいいんだろう。
中学の時に助けたらよかったと今になって後悔している私と、なんの迷いもなく私を助けようとしてくれるその子。
羨ましい、というか。妬ましいというか。私は中学の時に自分の立場があるからって助けようともしなかった。
それに比べてあの子は、自分の立場が危うくなるかもしれないけれど、助けようと私に気を配ってくれるわけなのね。
『助けよう』っていう心が嬉しいんだよね、助けられるかどうかは本当のところどうでもよくてさ」
「今頃、その女の子心配してるんじゃないですか?」と僕は久美ちゃんの姿とその女の子を重ねる。
「かもしれない、教室出る時に目があったから。……でももう、あの子に迷惑かけたくないんだよね。
私のことをどうやって助けようかとすっごく悩んでるみたいだし。
あの子、私より傷ついた顔するんだもん、自分じゃ気づいてないかもしれないけど」