妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~


「じゃあ、もう戻った方がいいんじゃないですか?」


「ああ、でもちょっと待って」



女の子は手鏡を片手にもう片方はティッシュを持ってゴシゴシ擦る。



「まだとれないんだ、河野さんやってくれるわ」と呆れながらも擦っている。




本当だ、なんかますます汚れがのびて広範囲に及んで黒くなっている。
多分、さっき雑にやたらめったら擦っていたせいだろう。




落ちるかどうかわからないが久美ちゃんが怪我した時用に持ってきていた消毒液を女の子に渡した。





と、そこでギイイっと嫌な音を立てながら屋上の扉が開いた。




「うわ最悪だ、誰かきたっ。こんな顔じゃあ人前に出られないって。おいっ、キツネ男よ隠してくれっ」


「は、はい」



僕は咄嗟に女の子を匿い袖で隠した。







––––––入ってきたのは久美ちゃんだった。




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