妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
「どうした?」
女の子が訊ねてくる。
「い、今の。久美ちゃんに見られてしまった……」
「小野枝さんのこと知ってるのか?」
女の子はそう言った後「あ」とつぶやいた。
「え、もしかしてキツネ男の愛でてるやつって小野枝さんのことだったのか!?」
「……ええ。何かものすごい勘違いをされてしまったような予感がします」
女の子は苦笑いを浮かべる。
「なんか、悪いことをしてしまったな」
「いえ、お気になさらず……」
僕は放心しながら、この女の子は久美ちゃんが言っていた鈴木さんなのだろうかと考える。
「ついでに聞きますが、久美ちゃんはクラスで愛でられる存在なのですか?」
一体どのくらい僕の目が血走っていたのか知らないが、今まで勇ましかった鈴木さんが顔を引き攣らせる。
「そのことは忘れた方がいい」