妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~


「愛でられているのですね?」


再度僕は問うた。


「……ま、まあ。そうだな」




鈴木さんは明後日の方を向いて答えた。




「あ、でも本人はそのことに気づいていないみたいだから大丈夫だろう」


「違いますよ、気づいてないから危ないんです」




 鈴木さんは、ドン引きしながら小さく頷くだけだ。
女子高生に想いを寄せる狐男というものはさぞかし気味が悪いのだろう。




「自覚がなければ自衛もできない。これは大問題ですよ」




僕が必死に熱弁しているのをよそに鈴木さんはヨイショと腰を上げ



「じゃあ、そろそろ戻ろうかな……」と僕から逃げるように屋上を出ていってしまった。





置き去りにされた僕は、残りの時間を町を眺めながら、いやに暑い屋上で久美ちゃんへの弁解をしくしくと考えていた。



付き合ってもないのに粘着質な男であるらしい、僕という男は。


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