妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
歩いている途中、常木さんは何回かため息をついて
「本当に僕に聞きたいことがないのですか?」と残念そうに口をへの字にする。
「……そういえば、鈴木さんと一緒にいてくれてありがとう。
ちょっと教室でいろいろあって鈴木さんを探していたんだけど傍に常木さんがいてくれてよかった」
「い、いえ」
常木さんは扇子でパタパタと仰ぎながら難しい顔する。
「あの、久美ちゃん……僕からこんなこと聞きたくなかったんですけど、屋上でのこと、なんとも思わなかったのですか?」
「何が?」
私は交互に出るローファーのつま先を見ながら答える。
「……すみません。なんでもないです今のは忘れてください」
わざわざそんなこと確認しないで欲しい。