妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
「え?」と私は振り返る。
そこには少年が立っていた。
少年は常木さんと私の間に立って
「しばらく止みそうもないねえ」とつぶやく。
その子は10歳くらいの子供で、この雨に打たれて髪と服がじっとり濡れている。
その男の子は大変可愛らしいまあるい瞳で、息を切らした私を見つめ、背中をさすってくれた。
「息整ってきた?」
私は突如現れた少年を呆然と眺めていたが、はっとする。
「あ、そうだ。私タオル持ってる!」
私はカバンからお花の柄のスポーツタオルを取り出し
「使ってないから綺麗だよ」と一応断ってから少年の頭をわしゃわしゃと拭いてあげる。
「別に気にしないよ、お姉ちゃん可愛いし。それにいい匂いがする」
まあそんなお世辞まで言えるなんて、と感服した。最近の小学生はませているなあ。