妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
雨が上がると草木が水に濡れた独特の懐かしい香りが漂う。
「ねえねえお姉ちゃん。僕のうちに寄っていきなよ」
圭くんが私の手を掴んで、ほらほらと急かす。
「え、ええ?」
「お兄ちゃんも来ていいからさ」
圭くんは、ねえいいでしょ?と首をかしげる。それがまたとてつもなく可愛いのである。
「僕はついでですか……」と常木さんは苦笑いを浮かべていた。
私たち一行は、圭くんに押し切られ家にお邪魔することになってしまい、
圭くんの右手を私がつなぎ左手を常木さんが握るという形で、小さい手に引っ張られながら私たちは移動した。