妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~


雨が上がると草木が水に濡れた独特の懐かしい香りが漂う。




「ねえねえお姉ちゃん。僕のうちに寄っていきなよ」



圭くんが私の手を掴んで、ほらほらと急かす。



「え、ええ?」


「お兄ちゃんも来ていいからさ」




圭くんは、ねえいいでしょ?と首をかしげる。それがまたとてつもなく可愛いのである。




「僕はついでですか……」と常木さんは苦笑いを浮かべていた。




私たち一行は、圭くんに押し切られ家にお邪魔することになってしまい、



圭くんの右手を私がつなぎ左手を常木さんが握るという形で、小さい手に引っ張られながら私たちは移動した。



< 131 / 242 >

この作品をシェア

pagetop