妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
一連の成り行きを圭くんが説明し、
いつになく眉間に皺を寄せた鈴木さんがふむふむと納得を示す。
「まあ、とりあえず入るといい」
鈴木さんは顎をしゃくって圭くんを先頭に中に入れてくれた。
私たちの住む町は古家が軒をつらね、夕方には豆腐屋さんも通りかかる
昭和の匂いがする風情の塊のようなところにある。
私の家も鈴木さん宅とよく似た作りの『ザ・和風』といった具合で、
私たちが通された応接間もまるで自分の家のような安心感に包み込まれていた。
鈴木さんは「ちょっと待ってて、お茶くらい出せるから」と流し目で伝え、
圭くんのお尻を叩きながら「あんたは宿題してきな」と応接間を出て行ってしまった。
姉におケツを叩かれた圭くんの小言と地団駄を踏み鳴らす足音が廊下から聞こえてくる。
「僕もお呼ばれしてよかったのでしょうか」
常木さんが言う。