妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
「まあ、これも何かの縁だと思って」
この頃にはすっかり服も乾いていたが、
常木さんの髪の毛がいつもよりしんなりしていて、下りた前髪が鬱陶そうである。
私は「ふう」と一息つくように見せかけ常木さんを観察した。
よく見ると色素の薄い瞳をしている。
なるほど……彼から受ける神秘的な印象はこれのせいなのかもしれない、と思ったりした。
神社では圭くんを拭くのに一生懸命で、常木さんそっちのけだったけれど
雨粒が滴っている彼は多分もっと神々しかったに違いない。
惜しいことをした、拝んでおくんだったと若干後悔する。