妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~


私は周囲を見渡してみたけれど誰だかわからなかった。



「あ」とお兄さんが前方に向かって手を振った。

「弥白さん!」


「え?」と私は声を上げる。




前方にいたのは常木さんとホストクラブにいた金髪のお兄さん。
もとい真也の兄だった。




二人の他にも何人かの男女人がいた。
なんと常木さんはここの大学に通っていたのである。



「え、久美ちゃん?」



常木さんが驚いた表情をする。私服姿の常木さんは見慣れないけれど、恐るべき美青年なのは変わりない。



常木さんは友人に一声かけると、その輪から抜け出してきてくれた。




「あれ、お二人って知り合いなんですか?」


お兄さんが不思議そうな顔をする。


私と常木さんがぽかんと見つめ合い



「ええ、知り合いで……」と答えるとお兄さんは「そうですかあ、そうですかあ」と頬を緩ませた。



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