妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
誰しも軽々しく絡んだりするのを憚る人物というのはいるものだ。
真也の中では私がそういう位置にいるのだろう。
だから、真也から勉強会に誘われたのは私にとって嬉しいことだった。
だって、苦手な人と一緒に勉強しようなどと思うことはないから。
嬉しいのである。
るんるんでうちに帰ってきた私は、まず1番におばあちゃんの部屋に向かった。
みしみしと軋む階段を登った先がおばあちゃんの部屋。
帰ってきてはじめに向かう場所は自分の部屋でもなく、リビングでもなく、おばあちゃんの部屋と決まっている。
物心ついた時からの日課になっているので、特に理由もない。
「たっだいまあ〜。今日も暑かったよ〜」
元気よく襖を開けると、和室の香りとお茶の香りが鼻腔をくすぐった。