妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~


「えっと〜、急にどうしたの?」


「ちょっと、フユコさんと久しぶりに話したくなって」


「敬語じゃなくなったことと関係ある?」




常木さんはもうひとつみかんをもぎって、また私の口に放り込んだ。




「まあ、関係あるね。フルスロットルで行くって決めたから」と意味深に微笑む。




フルスロットルって、何を? 常木さんは私の知らないところで一生懸命になっていることがあるみたいだ。




聞いてみたら答えてくれるのかな、と考えているとまたみかんを放り込まれる。



そして、じわじわと距離を縮められ、もうちょっとで鼻先が触れそうなくらい、常木さんは近づいてきた。




目があって、はっとした彼は目を逸らした。




今のは……と呆然とする。



よくわからない空気が流れ、最初に口を開いたのは常木さんだった。


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