妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
「あ、そうだ。今週の土曜日にデートしない?」
と爽やかに微笑む。
「ふぇっ!?」
いきなりのことで喉にみかんを詰まらせそうになり咳き込んだ。
「デートって、私と……?」
「そう、久美ちゃんと」
行きたい! と勢いよく返事しかけた時、今週の土曜は真也と勉強する約束をしたことを思い出した。
「あ、だめだ。すっごく行きたいけど土曜日は用事があるの」
「用事?」
「うん、もうすぐテストだから真也と勉強する約束してるんだ」
常木さんは眉を顰めて、首をかしげる仕草をした。
「二人で?」
私が頷くと、常木さんはゆるりと口角を上げ、妖しい笑みをたたえた。
「それ、僕も行っていい?」
僕が手取り足取り教えてあげるよ、と。
その提案に関しては、とてもいい事に思えた。
だって、考えてみれば真也も私もわからない所を聞けて良いことずくめだし、
なにより真也が私に教える手間が省けるんじゃないか。
それは当日を迎えるまでもなく、明らかだ。
とりあえず真也に明日報告するとして、常木さんにもきてもらおうと思う。