妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~



脳裏に久美ちゃんの屈託のない笑みがよぎる。
同時に、毎日のように母に見せられるお見合い写真も浮かんできた。




興味のない相手とのお見合い。
すり寄られて自分の服に移るきつい匂い、気を利かせて僕と相手だけにする両親たち。




そんな時僕は相手が久美ちゃんだったらなあ、と想像する。
それも束の間の想像で腕を絡ませらている人を見て、げんなりするのだけれど。




そもそも久美ちゃんはそんなふうに卑猥な目ですり寄ってこない。
僕は久美ちゃんと出会ってからというもの、彼女と懐に入ろうとしてくる誰かを比べてしまう。



比べて、より久美ちゃんという存在が大きくなる。



大きくなりすぎて、あまりの重さに自分自身でも引くくらい。その愛おしさ故、それ以上を求めてしまうようになった。






 最初からそうであったのかと言われれば、そうでもなかった。



久美ちゃんと会った時は、フユコさんのお孫さんだということで嬉しくなった。



例えるなら生き別れになった妹に再開したような気分だった。
けれど、いつからだろう愛おしくてたまらなくなったのは……。





会えなくて苦しい思いをしたのは、いつからだったろう。僕の久美ちゃんだとムキになり始めたのは。



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