妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
「弥白くんと久美ちゃんは両思いなの?」
不意にフユコさんがこちらを見た。
僕は首をかしげる。自信がなかったからだ。
僕が屋上で鈴木さんを抱きしめているところを見られたのに、久美ちゃんはそのことについて全然気にしていない様子だった。
僕のことが好きだとすれば、気になってしまうものじゃないだろうか。
ならばなぜ、無反応だったのか、それは自分の口からは言いたくない。
本当に受け止めたくない事実だ。
「どうなんでしょう。僕が一方的に好きなだけかもしれません。でも先にお付き合いできる状況にしておきたかったんです」
フユコさんは大きなため息をついて眉を顰めた。
「久美ちゃんの気持ちを優先しないでどうするのさ、先走ってあの子を困らせないで」