妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
「僕は必ず久美ちゃんを振り向かせます。だから……」
僕はどうしても君と一緒にいたいのだ。
しかし……もし仮に、両思いだったとしても付き合えないのなら虚しいだけじゃないのか?
そうだろう。だから、できるだけ避けようと、だって、付き合えないなんて嫌だから、先に付き合えるようにしておこうと思った。
これは間違っていることなのだろうか。
僕には一体どちらが前で進むべき方向なのか、先にすべきことと後回しにするものの判別さえつかず、迷い犬のように彷徨うばかりなのだ。
後先考えず、突っ走って行けるならそうしたい。
性格上、無意識に突っ走ることはあっても情熱に溢れて猪突猛進することなど僕にはできないのだから。
方策を立てるしかなかろう……。
「じゃあ、振り向かせてから来なさい。敬語で話しているような関係なら尚更、頑張る必要があるよ」
フユコさんの言葉を聞いて、ドキッとした。