妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~




ダメもとで僕も行っていいかと聞いた。




ダメなら不格好でも屁理屈を並べてやろうと方策していたが、




久美ちゃんから案外あっさり「勉強教えてくれるの嬉しい」との返事をもらえたので、
最悪だけは避けられたかなと思う。




そもそも僕がデートを誘わなければ、久美ちゃんが男と二人で勉強することも知らずに生きていくところだったのだ。万事休すといったところだろう。





久美ちゃんの危機感は目を見張るほど皆無であり、今までよく無事でいられたものだと感心に値する。




これじゃあ、いつ襲われるかわかったもんじゃない。


だから……身をもって教えてあげないと、といずれ撃沈に終わる使命感を僕はたずさえていた。





そして後々、後悔するのだ。



自分本位に行動したせいで、僕は、あの穏やかな彼女を怒らせてしまい。


それが、地獄よりも地獄的だということをこの時はまだ知らない。



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