妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
順番はまだかとそわそわしていると、隅の方で俯いている鈴木さんを見つけた。なにやら紙を見つめ、くしゃくしゃに丸めているように見えた。
「……ちょっと行ってくる」
「は? もう順番回ってくるのにどこ行くんだよ」
「すぐ戻ってくるから、まっちょって」
私はそう言って、鈴木さんに向かって歩く。
「ねえ、鈴木さん。……その紙見せてもらっていい?」
「え?」
鈴木さんは俯いた顔を上げる。
手に握られてる紙をそっと取り上げると中を見た。
どうやってこの紙を引き当てたのかは知らないが紙には『お前はひとり』という文字が並んでいた。
「やっぱり、こんなことだろうと思ったよ。鈴木さん真也とまわっておいで。私、境内で待ってるから」
「え、でも……」
「いいから、一人で肝試しなんて嫌でしょ?」
「……うん。本当にいいの?」