妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
何事もなかったかのように参考書に手を伸ばす常木さんに「い、今のなんだったの」と呟く。
「身をもって教えてあげたんだよ。怖かったでしょ、僕のこと。危機感を持ってないとそうなるってこと」
怖いってなに……。
「からかわないでよ……」
私の恋心を弄んで、涼しい顔をする常木さんにムカつく。
どういう思いで私を押し倒したのよ。
好きな人に押し倒されたら、少しくらい期待してしまう。
自分の家に真也を呼んだのも考えたらずだったかも知れないけれど、馬乗りになって教えてもらうようなことじゃない。
口で言ったらわかることなのに、一瞬でも期待した私の気持ちはどうなるのよ。