妖守の常木さん~妖守は彼女を独占したい~
そちらに行こうとした時、回された腕に力が入り、また私は真也の腕の中に戻った。
「久美に痕をつけたのって、弥白さんですよね」
真也が低い声で言った。いつもムスッとしているけれど、もっとムスッとした声だった。
……というか、あとってなに?
「そうだけど」
しれっと答えた常木さん。
「じゃあ、渡せないです。久美のことが好きなら泣かせないでください。……弥白さん、兄貴と違っていつも穏やかなのに、どうしたんですか」
「僕の何をしってるの?」
常木さんの笑顔は崩れ、ゆらりと立ち上がった。